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未払い残業

これからの残業代のトラブルを未然に防ぐために!

退職した従業員から突然「内容証明郵便」が届いた!突然、労働基準監督官がやってきた!
といったトラブルを未然に防ぐために、事前に「未払い残業対策」や「労働基準監督署の臨検・是正勧告対策」をする事が必要です。

未払い残業代について

未払いの残業代の問題は請求されてからでは、出来る事が限られてしまいます。なぜなら、請求された場合には、法律的には支払う義務があるため、支払いを行う必要があるからです。
数名の社員からの残業代請求をされるくらいならまだ良かもしれませんが、労働基準監督署の調査で、残業代の未払いがあることが発覚すると、全従業員に未払いになっている残業代の支払いを命じられる可能性があります。
未払い残業代請求から会社を守るには、事前対策が必要です。
未払いの残業代は過去3ヶ~2年間分までさかのぼって請求されます。
請求相手側に専門の法律家などがついている場合は、2年分の請求をされることが多いです。

未払い残業の対策について

残業代の請求対策は、「残業させた残業代を支払わなくても良い」という事ではありません。
基本的に、社員が残業した時間に対しては支払いの義務があります。
そこで、残業をさせない対策や、残業代を支払うにしても、最低限で済むように法的対策をおこないます。
主な対策としては以下のようなものがあります。
1. 残業を申告制にする
会社が残業に対しての規則がなく、社員が自由に残業をしていると残業時間は増えてしまいます。
そこで、多くの企業が取り入れているのが、「残業申告制」です。
残業をする際には、申請を提出するように、就業規則で定めて、会社が許可をした時間だけ残業を認める制度です。

申請には以下のような内容を記入してもらい、会社が必要であると認めた時のみ残業をさせます。
 
残業が必要な理由
残業で行う業務の内容
残業する時間
 
残業を申告制にすることで、無駄な残業を防ぐことができます。
この残業対策は、就業規則の規定などが必要なため、専門家に相談することをおすすめします。
2. ノー残業デーの導入
「毎週金曜日」「第一、第三水曜日」などの所定の日に、残業を禁止する「ノー残業デイ」を設定します。
ノー残業デーは残業代の節約だけではなく、社員が効率よく仕事をし、残業をしなくても良いという意識を持ってもらう事ができます。
ノー残業デーは就業規則に既定する必要はなく、手軽に導入する事ができますので、おすすめです。
3. みなし労働時間制の活用
営業等の労働時間を正確に把握する事が難しい場合や、専門性が高い業務等の場合、みなし労働時間制(裁量労働制)で予め決められた所定労働時間働いたと「みなす」事ができます。
うまく活用すれことが出来れば、大幅な残業代の削減が可能となりますが、全業種での適用はできません。
みなし労働時間制(裁量労働制)は業務の性質上、労働者の裁量にゆだねる必要がある業務に適用されます。
みなし労働時間制(裁量労働制)を導入すれば、対象労働者の労働時間管理をする必要がなく、残業という概念はなくなりますが、働く時間については労働者の自由裁量に委ねる必要があるので、導入にあたってのルール作りは必要です。

また、深夜時間と法定休日については、通常通り適用されるので導入を検討される際には専門家に相談することをおすすめします。
4. 定額残業代の導入
「定額残業制」とは、規定時間分の残業代を給料に含ませた制度です。
定額残業制を導入すると、規定の時間分の残業については割増賃金を支払わなくてもよくなります。
この定額残業制に「出勤簿の自己申告制」を組合わせると、大幅な残業代が削減できるようになります。
 
就業規則で定める
雇用契約書への明記
給与明細で基本給と固定残業手当とを分けて表示する
入社時に最初にきちんと説明をする
 
※「定額残業制」の導入は有効な対策ですが、就業規則で正しく定めることや、給与明細への記載方法など、細心の注意が必要です。また賃金の計算や管理が複雑になるので、導入を検討される際には専門家に一度相談することをおすすめします。
5. 変形労働時間制の導入
会社は従業員を1日8時間、週40時間を超えて労働させると2割5分増しの割増賃金の支払いが必要です。

しかし、変形労働時間制を導入すると、時間枠を超えて労働させても割増賃金を支払わなくてよくなります。
「ある一日は10時間の労働をさせるが、ある一日は6時間しか労働させない」とした制度です。
この変形労働時間制には一週間、一ヶ月単位、一年単位、の単位の3つの制度があります。
 
・一週間単位の非定型的変形労働時間制
この制度は、従業員30人未満の会社のみに適用されます。業種も小売業、旅館、料理店、飲食店のみです。
この制度の内容は、1週間の労働時間を40時間以内におさめれば、ある日の労働時間を10時間まで延長できるというものです。
従業員に10時間労働を強いても「週40時間以内」が守られていれば、残業手当を支払う必要はありません。
ただし、従業員が10人未満であれば週44時間まで働かせてよいという特例もあります。1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入すると、この特例が認められなくなり、従業員10人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店でも週40時間までしか働かせることができなくなりますのでこの制度を導入するときは注意が必要です。
 
・一ヶ月単位の変形労働時間制
忙しい時期には労働時間を10時間、閑散日には労働時間6時間と時間を調整して、一ヶ月の中で平均して週40時間に抑えればよいという制度です。
ある日は10時間、ある日は7時間、またある日は6時間とうまく割り振って社員の労働時間が、月171時間でおさまれば残業手当を出す必要がなくなるのが一ヶ月単位の変形労働時間制です。
労働時間を超えた場合は割増賃金が必要となりますが、繁閑の激しい会社にとっては均一に1日8時間の労働をさせるより、変形労働時間制で働かせることで無駄な残業代を抑えることができます。
 
・一年単位の変形労働時間制
一ヶ月単位の変形労働時間制の期間を、さらに広げたのが一年単位の変形労働時間制です。法定労働時間の週40時間を1年(365日)に換算すると社員を労働させる時間は2085時間です。この2085時間をうまく割り振って10時間働く日、6時間働く日といった具合に1年間のスケジュールを立て、社員の労働時間を2085時間に抑えるようにします。
6. 振替休日の導入
従業員を法定休日に出勤させた際には通常の1.35倍の賃金を支払わなければなりません。
しかし、業務の都合上、休日に労働してもらう理由がでてきます。その際には本人へ事前に休日を振替える旨を伝え、振替える日を指定して休日を入れ替えます。休日に労働させても割増賃金を支払う必要がなくなります。
休日の振替えを行う為には、就業規則に「業務の都合上必要なときは休日を振替える」旨を記載しておく必要があります。

残業代対策の効果について

残業代請求対策は、「残業代を払わずに残業させること」ではありません。基本的に、残業した時間に対しては支払いの義務があります。残業を少なくする事や残業を減らす事がポイントです。
残業なしでは厳しい企業様でも、残業代対策をする事で、残業をしても残業代の支払いは最低限で済むような対策をする事ができます。

対策方法には様々な方法がありますが、安易な考えで「残業対策」を行なうと、逆に残業の増加に繋がったり、従業員のモチベーションを低下させ生産性を落とすケースもありますので、一度専門家に相談をし、充分に現在の状況を把握した上で改善と対策を行うことが必要です。