会社は従業員を1日8時間、週40時間を超えて労働させると2割5分増しの割増賃金の支払いが必要です。
しかし、変形労働時間制を導入すると、時間枠を超えて労働させても割増賃金を支払わなくてよくなります。 「ある一日は10時間の労働をさせるが、ある一日は6時間しか労働させない」とした制度です。 この変形労働時間制には一週間、一ヶ月単位、一年単位、の単位の3つの制度があります。
・一週間単位の非定型的変形労働時間制
この制度は、従業員30人未満の会社のみに適用されます。業種も小売業、旅館、料理店、飲食店のみです。 この制度の内容は、1週間の労働時間を40時間以内におさめれば、ある日の労働時間を10時間まで延長できるというものです。 従業員に10時間労働を強いても「週40時間以内」が守られていれば、残業手当を支払う必要はありません。 ただし、従業員が10人未満であれば週44時間まで働かせてよいという特例もあります。1週間単位の非定型的変形労働時間制を導入すると、この特例が認められなくなり、従業員10人未満の小売業、旅館、料理店、飲食店でも週40時間までしか働かせることができなくなりますのでこの制度を導入するときは注意が必要です。
・一ヶ月単位の変形労働時間制
忙しい時期には労働時間を10時間、閑散日には労働時間6時間と時間を調整して、一ヶ月の中で平均して週40時間に抑えればよいという制度です。 ある日は10時間、ある日は7時間、またある日は6時間とうまく割り振って社員の労働時間が、月171時間でおさまれば残業手当を出す必要がなくなるのが一ヶ月単位の変形労働時間制です。 労働時間を超えた場合は割増賃金が必要となりますが、繁閑の激しい会社にとっては均一に1日8時間の労働をさせるより、変形労働時間制で働かせることで無駄な残業代を抑えることができます。
・一年単位の変形労働時間制
一ヶ月単位の変形労働時間制の期間を、さらに広げたのが一年単位の変形労働時間制です。法定労働時間の週40時間を1年(365日)に換算すると社員を労働させる時間は2085時間です。この2085時間をうまく割り振って10時間働く日、6時間働く日といった具合に1年間のスケジュールを立て、社員の労働時間を2085時間に抑えるようにします。 |